フリーランスや経営者の皆さん、日々の問い合わせ対応に追われていませんか?「フォームからの連絡に一件ずつ手作業で返信するのが大変…」「返信が遅れてお客様を不安にさせていないか心配…」そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。もし、その定型的な一次返信を24時間365日、誰かが自動でやってくれたら、もっと創造的な仕事に時間を使えると思いませんか?この記事では、プログラミングの経験がない方でも大丈夫なように、Googleの無料ツールだけを使って「Googleフォームからの問い合わせに自動で感謝のメールを返信する仕組み」を構築する方法を、ステップ・バイ・ステップで丁寧に解説します。この記事を読み終える頃には、あなたは面倒な手作業から解放され、ビジネスを加速させるための「小さな自動化ロボット」を手に入れているはずです!
今回作成する自動化の全体像
まずは、今回作る仕組みがどのような流れで動くのか、全体像を掴んでおきましょう。以下の図のように、お客様がフォームを送信すると、その内容がスプレッドシートに記録され、それをきっかけにGoogle Apps Script(GAS)というプログラムが自動でメールを送信してくれます。
graph TD
A[お客様がGoogleフォームを送信] --> B{フォームの回答がスプレッドシートに自動記録};
B --> C{{トリガーが発動}};
C --> D[GASが最新の回答データを取得];
D --> E[メールの件名と本文を自動生成];
E --> F[取得したメールアドレス宛に自動返信メールを送信];
ステップ0:事前準備
本格的な作業に入る前に、必要なものを確認しておきましょう。と言っても、特別なものは必要ありません。これらが揃っていれば、すぐに始められます。
- Googleアカウント:GmailやGoogleドライブなど、普段お使いのものでOKです。
- Googleフォーム:問い合わせを受け付けるためのフォームです。まだ作成していない場合は、このチュートリアルを進めながら一緒に作りましょう。
- 自動返信メールの文章(任意):どんなメールを送りたいか、あらかじめ考えておくとスムーズです。
ステップ・バイ・ステップ構築ガイド
ここからは、具体的な手順を一つずつ解説していきます。焦らず、一緒に進めていきましょう。
Step1: 自動返信の土台!Googleフォームを準備する
まずは、お客様からの問い合わせを受け付けるためのGoogleフォームを用意します。すでにお持ちの方は、設定を確認してください。
- Googleフォームにアクセスし、新しいフォームを作成するか、既存のフォームを開きます。
- フォームには「お名前」「お問い合わせ内容」などの質問項目を設定します。
- 最も重要なのが、メールアドレスを収集する設定です。フォーム上部の「設定」タブをクリックします。
- 「回答」というセクションを開き、「メールアドレスを収集する」の項目を「確認済み」または「回答者からの入力」に設定してください。これにより、返信先のメールアドレスを確実に取得できます。
Step2: 回答データを格納!スプレッドシートと連携する
次に、フォームに送信された回答を記録するためのGoogleスプレッドシートを作成し、フォームと連携させます。このスプレッドシートが、私たちの自動化システムのデータベースになります。
- フォームの編集画面に戻り、「回答」タブをクリックします。
- タブの右上あたりにある、緑色のスプレッドシートアイコン(「スプレッドシートにリンク」と表示されます)をクリックします。
- 「新しいスプレッドシートを作成」が選択されていることを確認し、分かりやすい名前(例:「問い合わせ管理シート」)をつけて「作成」ボタンをクリックします。
- 自動的に新しいタブでスプレッドシートが開きます。フォームの質問項目が列になったシートが作成されていれば成功です。
Step3: 自動化の心臓部!GASで魔法のコードを記述する
いよいよ、自動化の要であるGoogle Apps Script(GAS)を記述していきます。難しそうに聞こえますが、今回は以下のコードをコピー&ペーストするだけなのでご安心ください。
- 先ほど開いたスプレッドシートのメニューバーから「拡張機能」>「Apps Script」を選択します。
- 新しいタブでスクリプトエディタが開きます。「無題のプロジェクト」という名前がついているはずです。
- エディタ内に最初から書かれている `function myFunction() { … }` というコードを全て削除します。
- 以下のコードを全てコピーし、空になったエディタ画面に貼り付けてください。
function sendAutoReply(e) {
// フォームの回答内容を取得
const itemResponses = e.namedValues;
// ★★★ ご自身のフォームの質問項目名に合わせてください ★★★
const userEmail = itemResponses['メールアドレス'][0];
const userName = itemResponses['お名前'][0];
// ★★★ ここまで ★★★
// メール件名
const subject = '【自動返信】お問い合わせありがとうございます';
// メール本文(`userName` でお名前を差し込んでいます)
const body = `${userName} 様\n\n` +
'この度は、お問い合わせいただき誠にありがとうございます。\n' +
'以下の内容で受け付けました。\n\n' +
'担当者が内容を確認の上、2〜3営業日以内に改めてご連絡いたします。\n' +
'今しばらくお待ちくださいませ。\n\n' +
'--------------------\n' +
'あなたのサービス名\n' +
'ウェブサイトURLなど\n' +
'--------------------';
// メールを送信
GmailApp.sendEmail(userEmail, subject, body);
}
【重要】コードの中の `itemResponses[‘メールアドレス’][0]` と `itemResponses[‘お名前’][0]` の部分は、ご自身のGoogleフォームで設定した質問項目の名称と完全に一致させる必要があります。例えば、質問項目を「ご氏名」にしている場合は、`itemResponses[‘ご氏名’][0]` と書き換えてください。
- コードを貼り付けたら、フロッピーディスクのアイコン(「プロジェクトを保存」)をクリックして、忘れずに保存しましょう。
Step4: 最後の仕上げ!トリガーを設定して自動化を起動する
コードを設置しただけでは、まだ自動では動きません。「フォームが送信されたら、さっきのプログラムを実行してね」という命令(トリガー)を設定します。
- GASエディタの左側メニューから、目覚まし時計のアイコン(「トリガー」)をクリックします。
- 画面右下の「トリガーを追加」ボタンをクリックします。
- 以下の通りに設定ウィンドウを埋めていきます。
- 実行する関数を選択: `sendAutoReply`
- 実行するデプロイを選択: `Head`
- イベントのソースを選択: `スプレッドシートから`
- イベントの種類を選択: `フォーム送信時`
- 設定が終わったら「保存」ボタンをクリックします。
- 初回のみ、「承認が必要です」という画面が表示されます。これは、このスクリプトがあなたの代わりにGmailを操作することを許可するための手続きです。「権限を確認」をクリックし、ご自身のGoogleアカウントを選択してください。
- 「このアプリは Google で確認されていません」という警告が表示される場合がありますが、ご自身が作成した安全なスクリプトなので、「詳細」をクリックし、画面下部の「(安全ではないページ)に移動」をクリックして進んでください。
- 最後に「許可」をクリックすれば、トリガーの設定は完了です!
Step5: 動作テスト!実際にフォームから送信してみよう
さあ、すべての設定が完了しました。実際に自動返信が機能するかテストしてみましょう。
- 作成したGoogleフォームのプレビュー画面を開きます。
- 自分の名前とメールアドレス、そして適当な問い合わせ内容を入力して送信します。
- フォームに入力したメールアドレスの受信トレイを確認してみてください。
- 数分以内に、先ほどGASで設定した件名と本文のメールが届いていれば、大成功です!
もしメールが届かない場合は、Step3のコード内の項目名(`’メールアドレス’`や`’お名前’`)と、実際のスプレッドシートの1行目のヘッダー名が完全に一致しているか、再度確認してみてください。
まとめ:自動化で生まれた時間を、もっと創造的な仕事に
お疲れ様でした!これで、あなたは24時間文句も言わずに働いてくれる、優秀な一次対応秘書を手に入れました。この仕組みがあるだけで、問い合わせ対応の心理的負担がぐっと軽くなり、お客様にも「すぐに対応してくれる」という安心感を与えられます。生まれた時間は、新しいサービスの企画やお客様とのコミュニケーションなど、あなたにしかできない、もっと創造的な仕事に使いましょう。今回の仕組みを応用すれば、イベント申し込みのサンキューメールや、アンケート回答のお礼メールなどにも活用できます。ぜひ、次の自動化にも挑戦してみてください!
免責事項:本記事で紹介している手順やコードは、執筆時点での情報に基づいています。各サービスの仕様変更により、同様の手順で動作しない可能性があります。また、本チュートリアルの実行によって生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。ご自身の責任において、バックアップを取るなどの対策の上、実行してください。

