Astraの基本:料金はFable 5.1と同じ
OpenAIは公式発表「GPT-6 Astra」で、2026年9月3日にAstraを発表しました。ChatGPTの有料プランとAPIなどへ、数日かけて順に広げています。
APIの料金は、100万トークンあたり入力10ドル・出力50ドルです。APIモデル仕様「gpt-6-astra」では、扱える文脈は1,050,000トークンです。入力が272,000トークンを超えると、入力単価が2倍になります。
前モデルGPT-5.6 Solと比べると、単価は2.5倍に上がりました。一方、Claude Fable 5.1も入力10ドル・出力50ドルです。1トークンの単価なら、両者は同じ価格帯です。
ChatGPTのどのプランで使えるか
ChatGPTの画面では、Astraは「GPT-6 Pro」と表示されます。OpenAIヘルプ「ChatGPT の GPT-5.6 と GPT-6 Pro」によると、チャットで使えるのはPro、Business、Enterpriseです。Plusは、ChatGPT WorkとCodexで使えます。
回数には上限があります。Business Standardは月15メッセージ、Business Premiumは週50メッセージです。Enterpriseは、管理者が有効にするまで既定でオフです。
ビジネス+ITの連載記事(佐藤傑氏)は、9月5日時点でPlusの扱いに記述の食い違いがあると指摘しました。使える回数は、自社の画面とヘルプで確かめるのが確実です。
米国の評価1:独立評価は「同点で安い」
米国でよく参照される独立評価が、Artificial Analysisの検証記事です。Astraは総合指数でClaude Fable 5.1と同点の1位でした。しかも1タスクあたり約4割の費用(3.26ドル対7.63ドル)です。
もっともらしい誤答(ハルシネーション)の率は、前モデルの92%から51%に下がりました。一方、発表資料の見栄えの評価は前モデルより下がっています。
OpenAI自身の比較表にも、競合が上回る項目があります。難問テスト「Humanity's Last Exam」は、Astraが57.2%、Fable 5.1が65.0%でした。ベンダーの発表は、独立評価と分けて読むのが基本です。CNBCの報道では、アルトマンCEOが新しい能力の水準だと表現しました。
米国の評価2:実測は「近いが遅い」
セキュリティ企業のEndor Labsは、ツールとモデルの組み合わせで実際のコード修正を試しました。同社の検証記事では、機能テストの合格率がCodex+Astraで82.1%でした。Claude Code+Fable 5.1は87.2%です。
差が大きいのは時間です。1タスクの平均は、Astraが約16.8分、Fable 5.1が約9.5分でした。1時間の上限で打ち切られた回数も、Astraは29回、Fable 5.1は0回です。
コードレビューのCodeRabbitの評価では、バグの検出がOpus 5より約22%多い結果でした。複数ファイルにまたがる難しいレビューほど、差が開いたそうです。同社は、今のモデルと同じ仕事で並べて比べるよう勧めています。
日本の評価:見た目は高評価、文章は好みが分かれる
日本では、個人の実測レビューが先に出ました。開発者のまさお氏はnoteのレビュー(9月5日)で、SVGのイラストや3Dゲームの出来を高く評価しています。
ただし、文章の深さではFableが好きな場面があるとも書いています。25問をAIで採点した合計は、Astra 2,155点、Fable 2,171点でした。見た目の驚きと総合点は別の話、というのが本人の整理です。
前述の佐藤氏は、API経由の自身の計測を報告しています。議事録作成は20分から10秒、5万字の長文チェックは半日から1分になったそうです。ITmedia AI+は、提供が行き渡るまで利用枠のリセット権を毎日配る施策を伝えました。
Claude Codeとの違いは、モデルとツールに分けて見る
比べるときは、モデルの差とツールの差を分けて考えます。Astraはモデルで、それを動かす作業用ツールがCodexです。Claude CodeはAnthropicのツールで、最上位モデルがFable 5.1です。
前述のEndor Labsの測定は、ツールとモデルの組み合わせの比較です。同社は、Codexの作業範囲を絞る設計が結果に影響したとも分析しています。点差の一部はツールの設計から来ると読むのが妥当です。
| 比べる点 | GPT-6 Astra(Codex) | Claude Fable 5.1(Claude Code) |
|---|---|---|
| API料金(100万トークン) | 入力10ドル・出力50ドル | 入力10ドル・出力50ドル |
| 扱える文脈 | 約105万トークン | 100万トークン |
| 独立評価の総合指数 | 同点1位(費用は約4割) | 同点1位 |
| コード修正の実測 | 合格82.1%・平均約16.8分 | 合格87.2%・平均約9.5分 |
| データの保持 | 対象のAPI顧客は保持なしを選べる | 安全監視のため既定で30日保持 |
| 月額プランの入口 | ChatGPTのPro・Business等 | ClaudeのPro・Max等 |
| 評判で強みとされた点 | 画面操作、見た目の作り込み | 長い作業の安定、文章の深さ |
Claude Fableの製品ページによると、Fableは安全監視のため既定で30日間のデータ保持が必要です。Claudeの料金ページでは、個人向けMaxプランは週の利用枠の半分までFableに使えます。
安全面:サイバー能力が初めて最高段階に
Astraは、OpenAIの安全基準「Preparedness Framework」で、サイバー能力が最高段階のCriticalに初めて達したモデルです。安全性の概要資料は、未知の弱点を見つけて攻撃方法まで作れる水準だと説明しています。
そのため公開版は、コードの点検や修正には応じても、攻撃コードの試作は断ります。8月18日の公表資料では、8月7日にこの可能性を判定したとしています。
業務で気をつけたいのは止まり方です。安全チェックが働くと、ChatGPTやCodexでは確認を求められ、APIでは作業がそのまま止まります。OpenAI自身も、推論の過程が前モデルより監視しにくくなったと認めています。背景の事件はAI企業トップの減速提言で整理しました。
中小企業での使いどころ
総務省の令和8年版情報通信白書「生成AIの業務利用状況」によると、生成AIを業務で使う日本企業は86.4%です。用途は議事録・メール作成補助が約7割で最多でした。
議事録やメールの下書きなら、今のモデルで足ります。Astraを試す価値があるのは、テンプレートに沿った資料作り、書類の食い違い探し、ブラウザでの定型入力です(AIツールの選び方)。
同白書「組織的な取組状況」は、「中小企業におけるAI活用については、トップダウンの関与がキーポイントとなっていることがうかがえる」と明記しています。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織向け3位に初めて入りました。
画面操作を任せる前に、承認の場所を決める
Astraはフォーム入力も得意です。送信・削除・支払いの直前は人が承認する設定にしてください(人が承認する3つの場所)。
よくある質問(Q&A)
GPT-6 Astraって、うちの会社のChatGPTでもう使えますか。
プランによります。チャットで使えるのはPro、Business、Enterpriseで、PlusはCodexなどから使います。Enterpriseは管理者が有効にするまでオフなので、社内の管理者に確認してください。
Claude Codeを使っているんだけど、Codexに乗り換えたほうがいいですか。
急ぐ必要はありません。独立評価の総合力は同点で、実測の所要時間はFable 5.1のほうが短い結果でした。同じ仕事を3件だけ両方で試して決めるのが安全です。
Astraはサイバー攻撃ができるほど強いって聞いたけど、会社で使って大丈夫?
事務や資料作りで使う分には、過度な心配はいりません。公開版は攻撃につながる作業を断る設計です。ただし安全チェックで作業が止まることがあるので、締め切り間際の仕事は避けてください。
まとめ
- GPT-6 Astraは2026年9月3日発表。API単価はClaude Fable 5.1と同じ価格帯。
- 独立評価の総合力はFable 5.1と同点で費用は安い。実測のコード修正は精度が近く、時間は長め。
- 中小企業は乗り換えより使い分け。同じ仕事を並べて比べ、任せる範囲を社長が決める。
新しいモデルが出るたびに「どれが一番ですか」と聞かれます。今回ほど答えにくい回はありませんでした。物差しを変えるたびに、順位が入れ替わるからです。迷ったら、自社の仕事を3件選び、両方に同じ文面で頼んでみる。評判記事を10本読むより確かな答えが出ます。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
── AutoAIPlatform編集部