画像も「言葉で」作れる時代

ひと昔前まで、チラシやSNSの画像を作るには、デザインソフトの操作を覚えるか、外部の業者に頼むしかありませんでした。どちらも、時間かお金がかかります。中小企業にとっては、なかなかハードルの高い作業でした。

ところがいまは、作りたい画像を言葉で伝えるだけで、AIが画像を作ってくれます。「明るい雰囲気のランチのチラシ用の画像」と頼めば、それらしい画像が数十秒で出てきます。デザインの専門知識がなくても、頭の中のイメージを言葉にできれば形になる——これが画像生成AIのすごさです。ただし、あとで説明する権利まわりの注意だけは、必ず押さえておく必要があります。

画像生成AIとは・何ができるか

画像生成AIは、作りたい画像の内容を言葉(プロンプト)で伝えると、その通りの絵や写真風の画像を作ってくれる仕組みです。文章を書くAIの「画像版」と考えると分かりやすいでしょう。

写真風のリアルな画像も、手描き風のイラストも、シンプルな図やアイコンも作れます。同じ指示から複数の候補が出てくるので、その中から気に入ったものを選べます。ゼロから描くのではなく、たくさんの案から選んで、少し直すという進め方ができるのが、忙しい中小企業に向いている点です。

スマホやパソコンのブラウザから使えるサービスが多く、特別な機材やソフトは要りません。無料で試せるものもあります。思いついたときに、その場でいくつも試せる手軽さは、これまでの画像づくりにはなかったものです。まずは「どんな画像が作れるのか」を、遊び感覚で触ってみるのがよいでしょう。触っているうちに、自社のどの場面で使えそうかが、自然と見えてきます。

中小企業での使いどころ

では、具体的にどんな場面で役立つのでしょうか。図1に代表的な使いどころをまとめました。

中小企業での主な使いどころ。1.販促チラシ・POP(セール告知やメニューの画像)。2.SNS・ブログ画像(投稿のアイキャッチや挿絵)。3.資料の挿絵・図(提案書や社内資料のイメージ)。
図1|中小企業での主な使いどころ

いちばん実感しやすいのは、写真素材を探す手間と、外注費が減ることです。これまで有料素材を買ったり、撮影を依頼したりしていた場面の一部を、AIで代替できます。もちろん本格的な広告はプロに任せるべきですが、日々のSNS投稿や社内資料のちょっとした挿絵なら、AIで十分まかなえます。

もう一つの利点は、スピードです。「今日のランチをSNSに投稿したいけれど、いい写真がない」——そんなときも、その場でイメージ画像を作れます。素材探しに30分かけていた作業が数分で終われば、その分を接客や本業にまわせます。小さな時間短縮でも、毎日積み重なれば大きな差になります。まずは、いちばん頻度の高い作業から取り入れてみましょう。

画像を作る3ステップ

作り方はシンプルです。図2の3ステップで進めます。

画像を作る3ステップ。1.何を作るか決める(用途・サイズ・雰囲気を整理)。2.言葉で指示する(被写体・色・スタイルを文章で伝える)。3.選んで手直し(気に入った案を選び、指示を微調整)。
図2|画像を作る3ステップ

ポイントは、一度で完璧を狙わないことです。最初はざっくり指示して、出てきた候補を見ながら「もっと明るく」「横向きに」などと直していきます。文章を書くAIと同じで、やり取りをくり返すほど、狙いに近づきます。

作った画像に文字(店名やセール価格)を入れたいときは、画像には文字を入れず、あとから無料の編集ツールや資料作成ソフトで載せるのがおすすめです。AIは文字が苦手で、日本語がうまく入らないことが多いためです。背景となる画像だけをAIで作り、文字は人が載せる——この役割分担にすると、きれいで読みやすいチラシに仕上がります。

良い画像を出す指示のコツ

思ったような画像が出ないときは、指示の具体度が足りないことがほとんどです。次の要素を言葉にすると、ぐっと良くなります。

  • 被写体:何を写すか(料理、店内、人の手など)。
  • 雰囲気・色:明るい、あたたかい、シンプル、など。
  • スタイル:写真風か、イラスト風か。
  • 用途・向き:チラシ用(縦長)、SNS用(正方形)など。

たとえば「ランチの画像」ではなく、「明るい自然光の和定食、白木のテーブル、写真風、縦長」と伝えるだけで、仕上がりは大きく変わります。文字はあとから別のソフトで載せる前提で、画像には文字を入れないよう指示すると扱いやすくなります。

著作権・商標・肖像の注意

ここが、この記事でいちばん大切な部分です。便利だからと安易に使うと、思わぬ権利トラブルにつながります。図3の4つは、必ず守ってください。

著作権・権利で気をつける4つ。既存キャラ・作品名を指定しない。他社のロゴ・商標を無断で使わない。実在の人物の顔をそのまま使わない。商用利用の可否を各サービスで確認する。
図3|著作権・商標・肖像で気をつける4つ

とくに避けたいこと

有名なキャラクターや作品名を指定して作る、他社のロゴや商標をまねる、実在の芸能人や取引先の顔を使う——これらは、著作権・商標権・肖像権の侵害になるおそれがあります。「AIが作ったから大丈夫」ではありません。作ったのが誰であれ、他人の権利を侵すものは使ってはいけないのが原則です。

安全に使うための原則

むずかしく聞こえるかもしれませんが、守ることは実はシンプルです。「有名なもの・実在のものを、まねない」——これだけで、大半のトラブルは防げます。

そしてもう一つ大切なのが、商用利用の可否を、使うサービスの規約で確認することです。サービスによっては、作った画像を会社の販促や商品に使ってよいかのルールが異なります。会社で使う前に、一度だけでも規約に目を通しておきましょう。迷ったときは使わない、という慎重さが、結果的に会社を守ります。入れてはいけない情報の考え方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

もし社内で使うなら、「画像づくりの簡単なルール」を1枚決めておくと安心です。たとえば「有名なキャラや人物はまねない」「商用可のサービスだけ使う」「公開前に担当者が確認する」——この程度で十分です。ルールがあると、担当者ごとに判断がぶれず、思わぬトラブルを未然に防げます。AIの利用ルールづくりについては社員向けAI利用ルールの作り方も参考になります。

使う前のチェックリスト

販促に使う前に、次の5つを確認しましょう。

  • 作る画像の用途・サイズ・雰囲気を決めた
  • 既存キャラ・作品名を指定していない
  • 他社ロゴ・商標を使っていない
  • 実在人物の顔を無断で使っていない
  • サービスの商用利用ルールを確認した

実際に頼むときは、次のプロンプトが参考になります。

飲食店のランチ告知チラシ用の画像を作ってください。内容:明るい雰囲気の和定食のイメージ、白木のテーブル、自然光、写真風。文字は入れないでください。既存のキャラクターやブランドは使わないでください。縦長(チラシ向き)で。

よくある質問(Q&A)

作った画像は、そのまま商品やチラシに使えますか?

使うサービスの規約しだいです。商用利用が許可されているかを必ず確認してください。許可されていても、他人の権利をまねたものは使えません。不安なときは、無料の商用可素材と組み合わせるのも安全な方法です。

プロのデザイナーは不要になりますか?

いいえ。本格的な広告やブランドづくりはプロの領域です。AIは、日々の投稿や下ごしらえを助ける道具、と考えるとちょうどよいです。

人物の画像は使わないほうがいいですか?

実在の人物をまねるのは避けます。架空の人物として作る場合も、不自然な点がないか人が確認してから使いましょう。

まとめ

  • 言葉で指示するだけで、チラシやSNS画像が作れる。
  • 著作権・商標・肖像には特に注意し、有名なもの・実在のものをまねない
  • 商用利用の可否は、各サービスの規約で必ず確認する。

画像生成AIは、うまく使えば販促の心強い味方になります。まずは社内資料の挿絵など、影響の小さいところから試すのがおすすめです。慣れてきたら、SNSやチラシへと少しずつ広げていきましょう。権利の注意さえ守れば、あとは自由に、楽しく活用してください。

無料資料:AI業務改善チェックリスト

画像づくりも含め、どの業務からAIを取り入れるか整理しましょう。

筆者コメント

画像生成AIは、中小企業にとって「見た目の壁」を下げてくれる、うれしい技術です。これまでデザイン費や素材探しで諦めていたことが、気軽にできるようになりました。SNSを続ける負担も、ぐっと軽くなります。

ただ、便利さの裏で見落とされがちなのが権利の問題です。「AIが作ったんだから自由に使える」と思い込むのは危険で、他人の作品やロゴ、顔をまねたものは使えません。まねない・確認する・迷ったら使わない——この3つを守れば、安心して活用できます。まずは小さな挿絵から、気軽に始めてみてください。次回は「AIでビジネス翻訳を安全に行う方法」をお届けします。

── AutoAIPlatform編集部

著者情報

AutoAIPlatform編集部 / 中小企業向けAI業務教育メディア

中小企業の経営者、管理職、総務、人事、営業、研修担当者が、AIを安全に仕事へ取り入れるための教育記事を作成しています。AIの操作だけでなく、業務設計・社内ルール・人による確認を重視します。