お知らせ文は、意外とむずかしい
新商品の発売、店舗の移転、キャンペーンの開始——会社には、社外に知らせたい出来事が、次々と生まれます。それを文章にして、お客様やメディア、取引先に届けるのが、プレスリリースやお知らせ文です。ところが、いざ書こうとすると、これが意外とむずかしい。何を、どの順で、どう書けば、相手にきちんと伝わるのか——広報の経験がないと、途方に暮れてしまいます。
AIは、この作業を大きく助けてくれます。伝えたい事実を渡せば、お知らせ文の「型」に沿って、読みやすい下書きを数分で作ってくれるのです。ゼロから白紙に向かう苦しさから解放され、書き出しに悩む時間がなくなります。ただし、社外に出す文章には、内部向けの文書とは違う注意が要ります。その勘所も含めて、見ていきましょう。社内向けの文書は社内通達を整える記事で扱っています。
「書き手都合」が、伝わらない原因
伝わらないお知らせ文には、はっきりした共通点があります。それは、「書き手の言いたいこと」ばかりで、「読み手の知りたいこと」が抜けていることです。「当社は創業以来こだわり続け……」と自社の物語を長々と語っても、読み手が知りたいのは「それが自分にとって、どう良いのか」です。
お知らせ文の主役は、書き手ではなく読み手です。新商品なら「あなたのこんな悩みが解決します」、移転なら「より通いやすい場所になります」——読み手にとっての利点を、先に、はっきり伝える。これが伝わる文章の鉄則です。AIは、こうした「読み手目線」に文章を整えるのが得意です。「この文章を、読み手の利点が伝わるように直して」と頼めば、自慢話を、相手にとっての価値へと書き換えてくれます。
お知らせ文づくりのAI活用
お知らせ文づくりで、AIはどう役立つのか。図1にまとめました。
とくにありがたいのが、一つ目の「型に沿って書ける」です。プレスリリースには、見出し・リード文・本文・詳細情報といった、決まった型があります。慣れない人は、この型を知らないために、ちぐはぐな文章になりがちです。AIはこの型を心得ているので、事実を渡すだけで、きちんとした体裁のお知らせ文に組み立ててくれます。型に沿うだけで、文章の印象はぐっとプロらしくなります。集客のための文章づくりはブログ記事の書き方もあわせてどうぞ。
お知らせ文を作る4ステップ
実際の作成は、図2の4ステップで進めます。
最初のステップ「事実を集める」が、実は最も重要です。AIは、与えられた事実をもとに文章を組み立てますが、事実そのものは作れません。むしろ、事実が足りないと、それらしい内容を勝手に補って書いてしまうことがあります。だから、下書きを頼む前に、日時・場所・内容・狙いといった事実を、きちんと手元にそろえておく。材料さえ正確にそろえば、AIはそれを、読みやすい文章へと仕立ててくれます。あとは、事実の確認と、自社らしい仕上げです。
事実は[ ]の空欄にして渡す
下書きを頼むとき、確定していない日付や価格は、[発売日を記入]のように空欄にしておくようAIに指示すると便利です。AIが数字を勝手に埋めてしまうのを防げますし、あとで人が確実に事実を入れられます。空欄が残っていれば「まだ確認していない」と一目で分かり、うっかり誤った数字のまま公開する事故を防げます。
材料は「5W1H」で集める
事実を集めるとき、便利な物差しが「5W1H」です。いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)。この6つを埋めれば、お知らせに必要な事実は、ほぼそろいます。
たとえば新商品なら——「いつ」発売するか、「どこで」買えるか、「だれが」作ったか、「何を」売るのか、「なぜ」作ったのか、「どのように」使うのか。この6つをメモにして、AIに渡す。すると、情報の抜けがない、読み手が「知りたいことが全部書いてある」と感じるお知らせ文ができます。逆に、この6つのどれかが抜けていると、読み手は「で、いつから?」「どこで買えるの?」と、もやもやしてしまいます。5W1Hは、伝わる発信の、いちばん確実な下ごしらえです。
伝わらない文と伝わる文
同じ出来事を伝えるのでも、書き方しだいで印象は正反対です。図3で見比べましょう。
右側の文章に共通するのは、「読み手の立場で書かれている」ことです。誰に向けた何の話かがはっきりし、読み手の利点が示され、専門用語はかみ砕かれ、事実がそろっている。AIに下書きを頼むときも、「誰に向けた、何のお知らせか」を最初に伝えると、こうした伝わる文章に近づきます。逆に、指示があいまいだと、当たりさわりのない、誰の心にも残らない文章しか返ってきません。
社外に出す前の、最後の確認
お知らせ文で、内部向け文書といちばん違うのが、「一度出したら、取り消せない」という点です。社外に出た情報は、お客様やメディアの目に触れ、拡散します。だからこそ、公開前の確認は、絶対に省いてはいけません。
とくに念入りに見るべきは、日付、価格、場所、固有名詞といった「事実」です。AIが作った下書きには、もっともらしく見えて、実は事実と違う記述が紛れ込むことがあります。発売日が一日ずれていた、価格の桁が違っていた——こうしたミスは、会社の信用を損ないます。そして、誇大な表現や、根拠のない「日本一」「業界初」といった断定も要注意です。AIが調子よく盛った表現を、人が冷静に削る。この最後の一手間が、安心して出せるお知らせ文を作ります。事実確認の手順はAIの回答を確認する記事も参考になります。
お知らせ文チェックリスト
お知らせ文を仕上げるときは、次の5つを確認しましょう。
- 日時・場所・内容・狙いなど事実を集めた
- 読み手の利点が伝わる書き方にした
- AIの下書きの日付・数字・固有名詞を確認した
- 専門用語をやさしい言葉に直した
- 自社らしい一言を添えて仕上げた
下書きづくりには、次のプロンプトがそのまま使えます。
よくある質問(Q&A)
見出しが、どうしても平凡になってしまいます。
AIに「見出し案を5つ、切り口を変えて」と頼むと選べます。お得感、新しさ、地域性など、角度を変えた案から、自社に合うものを選びましょう。1つだけ作らせるより、複数から選ぶほうが、良い見出しに出会えます。
同じ内容を、SNSやチラシにも使い回せますか?
使えます。「このお知らせを、SNS用に短く」「チラシ用に」と頼めば、媒体に合わせて作り分けてくれます。一つの事実から複数の発信を作れるのは、AIの得意技です。ただし、事実確認は媒体ごとに行いましょう。
AIが、書いていない特徴を勝手に付け足しました。
よくあることです。事実が足りないと、AIはそれらしい内容を補って書きます。渡す事実を増やし、「与えた情報だけで書いて」と指示しましょう。そして公開前に、事実にない記述が紛れていないか、必ず人が確認してください。
まとめ
- お知らせ文は、書き手都合でなく読み手の利点を軸に。
- 事実を渡せば、AIが型に沿った下書きを数分で作る。
- 社外に出す前の事実確認と仕上げは、人の仕事。
お知らせ文づくりは、多くの中小企業にとって、苦手意識のある作業です。けれど、AIを使えば、白紙に向かう苦しさはなくなります。5W1Hで事実を集め、AIに型どおりの下書きを作らせ、読み手の利点を軸に整え、事実を確認して仕上げる。この流れさえつかめば、誰でも、伝わるお知らせ文を出せるようになります。まずは、直近で社外に伝えたいことを一つ思い浮かべ、その事実を5W1Hでメモして、AIに下書きを頼んでみてください。あとは、あなたの目で事実を確かめ、自社らしい一言を添えるだけです。
お知らせ文の相談を受けると、多くの方が「うまく書こう」と気負っています。けれど、社外への発信で大切なのは、名文であることではありません。読み手が知りたいことが、正確に、分かりやすく書いてあること。ただ、それだけです。AIは、この「型どおりに、分かりやすく」を、驚くほど得意としています。だから、書くのが苦手な人ほど、AIの恩恵は大きいのです。
ただし、一つだけ、絶対にゆずれないことがあります。社外に出す前の、事実確認です。AIは、時にもっともらしい嘘を、堂々と書きます。発売日、価格、場所——こうした事実を、AIまかせにしてはいけません。ここだけは、必ず人の目で。便利さに甘えず、最後は自分で確かめる。その一手間が、あなたの会社の信用を守ります。次回は、集客動画の台本づくりに進みます。
── AutoAIPlatform編集部