「これ、うちのチラシに使って大丈夫ですか」

夏のセールのチラシを作ることになり、担当者が画像生成AIで背景のイラストを用意してきたとします。仕上がりは悪くありません。ただ、印刷に回す直前になって、誰かがこう言います。「これ、どこかで見た絵に似ていませんか」。会議室が静かになります。誰も答えを持っていないからです。

同じことは文章でも起こります。AIに書かせた商品説明を自社サイトに載せる。求人票の文面をAIに整えてもらう。社内報の記事をAIに下書きさせる。どれも日常的な作業ですが、「これは法律的に大丈夫なのか」と聞かれたときに、答えられる人が社内にいない——これがいま、多くの中小企業が抱えている不安の正体です。

不安の原因は、情報が無いことではありません。情報が多すぎて、自分に関係のある部分がどこか分からないことです。ニュースで流れる訴訟の話、SNSで見かける「AI絵は違法」という主張、事業者向けの難解なガイドライン。それらは全部ちがう場面の話をしています。まずは、その場面を分けるところから始めましょう。

3つの場面に分けて考える

文化庁の資料は、AIと著作権の関係を3つの観点に整理しています。第一にAI開発・学習段階、つまりAIに大量の文章や画像を読み込ませて学習させる場面。第二に生成・利用段階、つまりAIに何かを作らせ、それを世に出す場面。そして第三に、AI生成物が「著作物」に当たるかどうかという、前の二つとはまったく別の問題です。

生成AIと著作権を考える3つの場面。学:AIに学習させる段階はAIを作る側の話。作:AIで作らせる段階は社内で試すだけなら緩め。使:外に出して使う段階がいちばん要注意。いま訴えられているのは作る側。
図1|著作権は3つの場面に分けて考える

この3つが混ざったまま議論されるから、話が噛み合わなくなります。「AIは他人の作品を無断で学習しているから使うべきでない」という主張は第一の場面の話であり、「AIで作ったものに著作権はあるのか」は第三の場面の話です。市販のAIサービスを業務で使っているだけの会社が向き合うべきなのは、第二と第三。この整理ができるだけで、必要以上に怖がることも、逆に無防備になることも避けられます。

学習させる話は、あなたの会社の話ではない

第一の場面から先に片づけておきます。日本の著作権法には第30条の4という規定があり、著作物に表現された思想や感情を享受することを目的としない利用——たとえばAIの学習データとして集めること——は、原則として著作権者の許諾なく行えるとされています。2018年の法改正で新たに設けられた規定です。

ここでいう「享受」とは、文章なら読むこと、音楽なら聴くこと、といった、視聴などを通じて知的・精神的な欲求を満たす行為を指すと説明されています。著作権者が受け取っている対価は、通常こうした効用への対価だから、そうでない使い方は権利者の経済的利益を害さない——というのが法律の考え方です。

ただし例外があります。文化庁は、意図的な過学習などで学習データに含まれる作品の表現を出力させることを目的とした追加学習や、一部の検索拡張生成のためのデータ収集は、享受目的が併存するとして第30条の4は適用されないと整理しています。また、情報解析用に有償で販売されているデータベースを無断で複製する場合なども、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に当たりうるとされます。

いずれにせよ、これはAIを開発する側の話です。ChatGPTやGeminiを契約して使っているだけの会社が、学習段階の責任を負うことは想定されていません。ここは知識として押さえるだけで十分です。

侵害になるのは、2つがそろったとき

本題は第二の場面です。AIで作ったものを公表したり販売したりする場合、侵害かどうかは通常の著作権侵害とまったく同じ基準で判断されると、文化庁は明言しています。AIを使ったから特別に厳しくなる、ということはありません。

必要な要件は二つです。ひとつは類似性——既存の著作物と創作的表現が共通していること。もうひとつは依拠性——既存の著作物をもとに作ったといえること。この二つがそろって、はじめて侵害になります。

裏を返せば、既存の著作物と似ていないものについては、著作権法上、特段の許諾を得る必要はありません。ここは安心してよい部分です。日々の業務で作る挨拶文、社内資料、議事録の要約、求人票の文面。これらの大半は、そもそも類似性の問題が起きません。心配すべき範囲は、思っているよりずっと狭いのです。

「似ている」の意味に注意

ここでの類似性は、雰囲気が似ているという意味ではなく、創作的な表現そのものが共通しているかどうかを指します。同じテーマ、同じ構図の発想、同じ色づかいといった要素は、それだけでは類似性の判断に直結しません。判断されるのは、表現として重なっているかどうかです。

「知らなかった」は通じるのか

ここが、中小企業がいちばん気にする点でしょう。学習データに何が入っているかなど、使う側には分かりません。知らないうちに誰かの作品に似たものが出てきたら、どうなるのか。

文化庁の整理は率直です。既存の著作物が学習に使われていた場合、利用者がその著作物を認識していなくても、通常は依拠性があったと推認されるとされています。つまり「知らなかった」だけでは守りになりません。生成AIを使わない場合と異なり、認識がなくても侵害となることがある、という点は仕組み上の特性として理解しておく必要があります。

ただし、逆向きの整理もあります。プロンプトに既存の作品そのものを入力した場合や、作品のタイトル、キャラクターの名前といった特定の固有名詞を入力した場合は、利用者がその作品を知っていたことをうかがわせる事情となり、依拠性が認められやすくなるとされています。

ここから導かれる実務上の結論はひとつです。特定の作品名・キャラクター名・作家名を指示に書かない。この一点を守るだけで、避けられるリスクはかなりの範囲に及びます。「人気アニメ風に」「あの作家のような文体で」といった指示は、便利に見えて、わざわざ足跡を残す行為でもあるのです。

「作る」と「外に出す」で判断が変わる

見落とされがちな、しかし実務上とても重要な区別があります。文化庁は、生成そのものと、生成物の利用とを分けて考えるよう促しています。

個人が私的使用の目的で生成する場合や、企業・団体の内部で、権利者から許諾を得て利用することを前提に検討の過程で生成する場合は、権利制限規定の範囲内であれば、許諾なく適法に行えるとされています。ところが、生成したものをインターネットで配信する、複製物を譲渡する、といった「利用」の段階になると、権利制限規定の範囲外となる場合が多いと整理されています。

つまり、社内で試している段階では問題にならなかったものが、外に出した瞬間に問題になりうる。判断の分かれ目は、社内にとどめるか、社外に出すかです。この線を業務のなかに引いておくと、いつ確認すべきかがはっきりします。試作は自由にやってよい。配る前、載せる前、売る前に一度止まる。それだけです。

業務で使う会社が確かめる5つ

文化庁は2024年7月31日付で「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を公表しています。これは立場ごとにやるべきことを整理した資料で、AI開発者、AI提供者、AI利用者(業務利用者)、業務外利用者の4つに分かれています。市販のAIサービスを仕事に使っている会社は「AI利用者(業務利用者)」に当たります。

業務で生成AIを使う会社が使う前に確かめる5つ。1.利用規約を読む(他人の著作物を入れてよいか)。2.似ていないか検索(文章検索・画像検索で確認)。3.固有名詞を入れない(作品名やキャラクター名)。4.プロンプトを残す(あとから経過を説明できる)。5.社内ルールを決める(起きた時の手順も決める)。文化庁チェックリストの要点。
図2|業務で使う会社が確かめる5つ

資料が挙げているのは、たとえば次のような項目です。使おうとする生成AIの仕組みや特性、学習済みモデルに関する情報、そして利用規約を事前に確認すること。利用規約では、他人の著作物を入力することを禁止・制限している場合があるためです。社内的なルールを策定するなど予防措置を講じ、あわせて万一侵害が生じた場合の対応まで想定しておくこと。生成物を使うのに先立って、インターネット検索や画像検索で既存の著作物と類似していないか確認すること。そして、生成に用いたプロンプトなど生成過程を確認可能な状態にしておくよう努めること。

従業員への著作権教育にも触れられています。とくに、生成物が既存の著作物を侵害するかという問題と、生成物に著作権が発生するかという問題を混同しないよう、理解を確かめておくべきだとされています。この二つはまったく別の問題で、実際、現場ではよく混ざります。

全部やれば免責、ではありません

チェックリスト自体に、これらを全て実施すれば法的責任を問われないという意味ではない、と明記されています。逆に、全てできていないから直ちに責任が生じるという意味でもありません。目的はあくまでリスクを下げることです。過度に身構える必要はありませんが、「やったから安心」と考えるのも違う、ということです。

AIが作ったものに、自社の権利はあるのか

三つ目の論点です。「うちがAIで作ったこのロゴ案、他社に真似されたら文句を言えるのか」。経営者から実際によく出る質問です。

文化庁の整理はこうです。著作権法上の著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」であり、人が何ら指示を与えないか、簡単な指示を与えるにとどまり、生成ボタンを押しただけのものは、思想または感情を創作的に表現したものとはいえず、著作物に該当しないと考えられています。

これに対して、人が思想や感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使ったと認められれば、著作物に該当し、そのAI利用者が著作者になるとされています。判断されるのは二点。創作意図があるか、そして創作的寄与と認められる行為を行ったかです。なお、著作者になれるのは自然人か法人だけで、法人格を持たないAI自体が著作者になることはありません。

「創作的寄与」があると認められるのは

では、どこまでやれば創作的寄与になるのか。文化庁は判断要素の例をいくつか挙げています。個別具体的な事情に応じて判断されるとしたうえで、単なる労力にとどまらない創作的寄与がどの程度積み重なっているかを総合的に考慮するという枠組みです。

指示の分量

創作的表現といえるものを具体的に示す詳細な指示は、創作的寄与があると評価される可能性を高めるとされます。ただし長いだけの指示は別で、長大なプロンプトであっても、創作的表現に至らないアイデアを示すにとどまるものであれば、判断には影響しないと整理されています。文字数を稼げばよい、という話ではありません。

試行回数

回数が多いこと自体は、創作的寄与の判断に影響しないとされています。ただし、生成物を確認して指示や入力を修正しながら試行を繰り返した場合には、著作物性が認められる場合もあるとされます。回数ではなく、見て直したかどうかが見られている、と読めます。

候補からの選択

複数の生成物から選んだという行為も、単なる選択行為だけでは判断に影響しないとされています。一方で、通常創作性があると考えられる行為の要素として選択が含まれる場合もあり、そうした行為との関係は考慮が必要だとも書かれています。

人による加筆・修正

そして最も分かりやすいのがここです。人間がAI生成物に創作的表現といえるような加筆・修正を加えた場合、通常、その加筆・修正が加えられた部分については著作物性が認められるとされています。要するに、人が手を入れた分だけが自社のものになる、ということです。

これは実務的にはよい知らせでもあります。AIの出力をそのまま使わず、自社の事実を足し、自分たちの言葉に直す。品質のために当然やるべきことが、そのまま権利の確保にもつながっているからです。

作風が似ているだけでは侵害にならない

「あの雰囲気で書いて」という指示をためらう人がいます。ここも整理されています。著作権法が保護するのは創作的表現であって、アイデアは保護しません。したがって、作風がアイデアである場合には、それが共通していたとしても著作権侵害とはならないとされています。

ただし例外もあります。特定のクリエイターの少量の作品だけを学習データとして追加学習を行い、共通する創作的表現を出力させることを目的とする場合には、第30条の4が適用されない場合があると整理されています。また、生成物に「創作的表現が共通する作品群」の表現が直接感じ取れる場合には、その生成や利用が侵害となりうるとも書かれています。

これは自社でモデルを作り込む側の話であり、市販サービスを使うだけの会社が踏み込む領域ではありません。とはいえ実務としては、特定の個人名や他社名を挙げて「そっくりに」と指示するのは避けるのが賢明です。前述の依拠性の観点からも、わざわざ不利な材料を残す必要はありません。

いま訴えられているのは、誰なのか

ニュースの見出しだけを見ていると、AIを使うこと自体が訴訟リスクのように感じられます。実際に何が起きているのかを確認しておきましょう。

2025年8月7日、読売新聞グループ本社が、AI検索サービスを提供する米Perplexity社を著作権侵害で提訴しました。訴状によれば、同社は2025年2月から6月にかけて読売新聞オンラインの記事11万9,467本の情報を取得・複製し、類似する内容を利用者に送信していたとされます。請求は約21億6,800万円の損害賠償と、記事の複製の差し止めです。その後、朝日新聞社と日本経済新聞社も同社を提訴しています。

ここで確認したいのは、争われているのはAIサービスを提供する側の行為だという点です。ニュース記事を読むためにAI検索を使った一般の会社が訴えられているわけではありません。文化庁の資料も、日本ではAIと著作権の関係を直接扱った判例・裁判例が乏しい状態だとしたうえで、判例の蓄積を待たずに考え方を示したものだと説明しています。法律論はまだ動いている途中であり、だからこそ、現時点で示されている考え方に沿って手堅く運用しておく価値があります。

困らないための4つの手順

ここまでの内容を、明日から実行できる形にまとめます。難しいことは何もありません。

著作権で困らないための4つの手順。1.用途を決める(社内だけか外に出すか)。2.出力を検索で確認(似た作品がないか調べる)。3.人が手を入れる(自社の事実と言葉を足す)。4.記録を残す(指示と修正の経過を保存)。外に出す前がいちばん大事。
図3|困らないための4つの手順

第一に、作り始める前に用途を決める。社内資料なのか、外に出すものなのか。外に出すものだけ、次の手順に進みます。第二に、出てきたものを文章検索・画像検索にかけ、似た既存作品がないか確かめる。数分で終わります。第三に、人が加筆・修正する。自社の事実、自社の言葉、実際の写真を足す。品質も権利も、ここで確保されます。第四に、使ったプロンプトと修正の経過を残す。共有フォルダにテキストファイル1つで十分です。

  • 外に出す前に、生成物が既存の作品と似ていないか文章検索・画像検索で確かめたか
  • プロンプトに作品名・キャラクター名・特定の作家名を入れていないか
  • 使っているAIサービスの利用規約で、他人の著作物の入力が禁じられていないか確認したか
  • 生成に使った指示と修正の経過を、あとから見返せる形で残しているか
  • 社内にとどめる用途か、社外に出す用途かを、作る前に決めているか

よくある3つの勘違い

最後に、現場でよく耳にする誤解を三つ挙げておきます。

ひとつめ。「AIで作ったものは著作権がないから、誰のものでもなく自由に使える」。これは二つの問題を混同しています。自社の生成物に著作権が発生するかという話と、その生成物が他人の著作権を侵害するかという話は別です。仮に著作物に当たらないとしても、既存の作品と類似性・依拠性があれば侵害になりえます。

ふたつめ。「有料版を契約しているから安全」。有料契約は情報の学習利用や機密の扱いに関わる話であって、出力が他人の作品に似ていた場合の著作権問題を解決するものではありません。サービスによっては補償を用意している場合もありますが、条件は各社で異なります。契約内容を読まずに「有料だから大丈夫」と考えるのは危険です。

みっつめ。「社内で使うだけだから何をしてもよい」。社内利用の自由度が高いのは確かですが、社内報が取引先に渡る、社内資料が提案書に流用される、といったことは日常的に起こります。社内用と社外用の境目は、思っているより簡単に越えられる。作った時点で用途を決めておく理由は、ここにもあります。

そのまま使えるプロンプト

社内ルールのたたき台を作るためのプロンプトです。角かっこの中を自社の情報に置き換えて使ってください。

あなたは、中小企業の社内ルールづくりを支援する編集者です。当社が生成AIを業務で使うにあたっての「著作権の社内ルール」たたき台を作ってください。 ―――前提――― 業種:[業種]/従業員数:[人数]/使っているAIツール:[ツール名を列挙] AIで作るもの:[チラシ/SNS投稿/商品説明文/社内資料 など] 公開範囲:[社内のみ/自社サイト/SNS/印刷して配布 など] 次の条件で作成してください。 条件1:「社内でだけ使うとき」と「社外に出すとき」で、確認手順を分けて書く。 条件2:外に出す前の確認手順を、担当者がそのまま実行できる順番の箇条書きにする。検索で似た作品がないか確かめる工程を必ず入れる。 条件3:プロンプトに書いてはいけないものを、当社の業種に即した具体例つきで5つ挙げる。 条件4:生成に使った指示と修正の経過をどう残すか、無料でできる方法を2案示す。 条件5:判断に迷ったときの相談先と、社内で誰に確認するかの流れを1段落で書く。 条件6:法律の断定的な判断はせず、専門家への確認が必要な点は「要確認」と明記する。全体をA4で2枚以内に収める。

よくある質問(Q&A)

AIで作った画像を自社サイトに載せたら、あとから「似ている」と連絡が来ました。どうすればよいですか。

まず該当箇所の公開を止め、いつ・どのツールで・どんな指示で作ったかの記録を集めてください。文化庁のチェックリストでも、侵害が生じた場合の対応をあらかじめ想定しておくことが挙げられています。そのうえで、弁護士など専門家に相談するのが確実です。生成過程の記録が残っていれば、状況の説明がはるかに楽になります。記録を残す理由の半分は、こういう場面のためです。

AIに書かせた自社サイトの文章を、他社にコピーされました。文句は言えますか。

その文章に著作物性が認められるかどうかによります。簡単な指示で出しただけの文章は著作物に当たらないと考えられており、その場合は著作権を根拠に主張することが難しくなります。一方、具体的な指示を重ね、自社の事実を加筆・修正していれば、少なくともその部分については著作物性が認められる可能性があります。人が手を入れる作業は、品質だけでなく権利の面でも意味があるということです。

お客様の写真をAIに読み込ませて加工するのは問題ありませんか。

この記事で扱ってきた著作権とは別に、肖像権や個人情報の問題が生じます。撮影者との関係では著作権、写っている人との関係では肖像権、というように、関わる権利が複数あります。また利用規約で他人の著作物の入力を制限しているサービスもあります。撮影時に利用範囲の同意を得ているか、使うサービスの規約で許されているかを確認してから進めてください。判断に迷う場合は加工せずに使うのが安全です。

まとめ

  • 侵害になるのは、既存の著作物との「類似性」と「依拠性」がそろったとき。似ていなければ、著作権法上は自由に使える。
  • 作品名やキャラクター名をプロンプトに書かない、外に出す前に検索で似た作品を確かめる。この2つで多くのリスクは避けられる。
  • AIが自動で出しただけのものに著作権は生じにくい。人が具体的に指示し、加筆・修正した部分が自社の資産になる。

著作権と聞くと専門家の領域に思えますが、業務でAIを使う会社に求められていることは、驚くほど常識的です。他人のものを真似しようとしない。出したものを一度確かめる。自分の手を入れる。経過を残しておく。この4つは、AIが登場する前から、まともな仕事のやり方として通用してきたことでもあります。新しい技術に新しい倫理が必要になったわけではなく、これまでの仕事の作法を、新しい道具にも当てはめるだけです。

無料資料:AI業務改善チェックリスト

ツール選びから社内ルールまで、AI活用の全体像を整理しましょう。

筆者コメント

文化庁の資料を読み返していて、意外に思ったことがあります。それは、「AI生成物であることによって一律に、著作物に該当する/しないが決まるものではない」とわざわざ注記されている点です。AIか人間かという入口で線を引くのではなく、その都度、人がどれだけ関わったかを見る。ある意味で面倒な、しかし誠実な立て付けだと感じました。

この立て付けは、現場にとってはむしろありがたいものです。「AIを使ったら権利は諦めろ」でもなければ「AIを使えば何でも自由」でもない。手を入れた分だけ自分のものになる、という素直な仕組みだからです。丁寧に作った人が報われる形になっているのは、悪くない設計だと思います。

今日のところは、社内で使っている生成AIの利用規約を一つだけ開いて、「他人の著作物の入力」について何が書かれているかを確かめるところから始めてみてください。5分で終わります。そして次に外向けの何かをAIで作るとき、公開ボタンを押す前に検索窓へ放り込んでみる。やることが増えたわけではなく、順番が一つ入れ替わっただけです。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

── AutoAIPlatform編集部

著者情報

AutoAIPlatform編集部 / 中小企業向けAI業務教育メディア

中小企業の経営者、管理職、総務、人事、営業、研修担当者が、AIを安全に仕事へ取り入れるための教育記事を作成しています。AIの操作だけでなく、業務設計・社内ルール・人による確認を重視します。