何が、いつ止まるのか

カスタムGPT終了までの予定。1.9月11日、管理者への事前通知。2.9月22日、移行機能の提供目標。3.10月26日、新規作成の終了予定。4.12月11日、提供終了でGPTのページごと使えなくなる。
図1|カスタムGPT終了までの予定(OpenAIの公式FAQより。日付はEnterprise向けの予定)

OpenAIは「カスタム GPT の提供終了と移行に関する FAQ」で、カスタムGPTを2026年12月11日に提供終了する予定だと公表しました。代わりに移る先は「プラグイン」です。指示文、参照ファイル、連携アプリを1つにまとめる仕組みです。

同FAQによると、この移行はすべてのChatGPTプランに影響します。承認を受けた一部のEnterprise環境だけは、終了日が2027年2月11日に延びます。

Enterprise向けの予定表も載っています。9月11日に管理者へ通知、9月22日が移行機能の提供目標、10月26日に新規作成が終わる予定です。いずれも目標日で、アカウントごとに届く通知が優先します。

移るもの、移らないもの

移行で移るものと移らないものの対比。移るもの:指示文はスキルへ、ナレッジは参照ファイルへ、連携アプリはアプリへ、最新の公開版。移らないもの:選んだモデル、カスタムアクション、これまでの会話、共有の設定。
図2|プラグインへ移るもの、移らないもの

移行ボタンを押せば全部が移るわけではありません。同FAQは、指示文がプラグイン内の「スキル」になり、ナレッジファイルは参照ファイルにコピーされると説明しています。

表1|カスタムGPTの中身と、移行後の扱い
GPTの中身移行後会社がやること
指示文スキルになる文面を社内にも保存
ナレッジファイル参照ファイルにコピー最新版か確認
連携アプリアプリとして追加権限を付け直す
カスタムアクション移らない代わりの連携を用意
選んだモデル移らない答えの違いを試す
これまでの会話移らない必要な回答を控える
共有の設定移らない使う人を再登録

いちばん手間がかかるのはカスタムアクションです。予約表や在庫表など、外のサービスとつないでいた部分を指します。作り直しには専門的な設定が要る場合がある、と同FAQは注意しています。

もう1つ見落としやすいのが、移行に使われるのは最新の「公開済み」の版だけという点です。下書きのまま直した部分は移りません。

作った人か、使っているだけの人か

やることは立場で分かれます。自分や社員が作ったGPTは、作った人が移行します。移行後の元のGPTは期限まで使えますが、読み取り専用になります。直したい所は移行の前に直しておきます。

他社が作った公開GPTを使っているだけなら、自分では移行できません。同FAQは、GPTに表示される案内と作成者の告知を確認するよう求めています。業務で頼っているなら、作成者が代わりのプラグインを出すかどうかを早めに確かめます。

注意したいのは、社員が個人のアカウントで作ったGPTです。日程や権限は作ったアカウントの側で決まります。退職者のアカウントに残ったGPTは、誰も移行できなくなるおそれがあります。

小さな会社ほど影響が出やすい理由

中小機構が全国の中小企業10,000社を対象に行った「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(2026年3月)」によると、AIの導入率は20.4%でした。導入済みの企業のうち82.6%が生成AIを使っています。

導入の目的は「業務効率化/作業時間の短縮」が87.0%で最多です。カスタムGPTは、まさにこの用途で作られてきました。詳しい1人が作り、みんなが使うという形が多いはずです。

同じ調査では、「適切なベンダーや製品を選定する情報」が足りないという回答が79.8%に上りました。道具の選び直しに慣れていない会社ほど、提供終了の知らせで手が止まりやすいと言えます。

国のガイドラインも「乗り換えやすさ」を見ている

特定のサービスから離れられなくなる状態を、ベンダーロックインと呼びます。デジタル庁の「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2026年6月12日)は、生成AIのリスクとして「ベンダーロックインによる不要なコストの増加のリスク」を挙げると明記しています。

同ガイドラインは、調達時の要件にチャット履歴やプロンプトのテンプレートを書き出せる機能を加点項目として並べています。ベンダーやシステムの移行のしやすさを踏まえた設計も、基本の要件の1つです。

国の役所向けの規則ですが、考え方は会社でもそのまま使えます。「やめるときに持ち出せるか」を、使い始める前に確かめることです。契約面の確認はAIツールの契約書、どこを見る?|政府の21項目チェックで解説しています。

棚卸し表をAIで作る

最初にやるのは、会社で使っているGPTの一覧づくりです。同FAQも、頼っているGPTを特定し、自分で作ったものか他人が作ったものかを確かめるよう勧めています。

そのまま使えるプロンプト例

あなたは中小企業の業務整理を手伝う担当者です。社内で使っているカスタムGPTの棚卸し表を作ります。次の聞き取りメモを、表の形に整えてください。列は「GPT名/用途/作った人/作ったアカウント(会社・個人)/使っている人数/カスタムアクションの有無/ナレッジファイル名/移行の担当者」。条件:(1)メモに無い項目は空欄にせず「要確認」と書く。(2)個人アカウントで作られたもの、退職者が作ったもの、カスタムアクションがあるものを、表の下に別枠で並べる。(3)人名や数字を補わない。メモ:[ここに貼る]

表の下の別枠が、優先して手を付けるGPTです。カスタムアクションのあるGPTは移行に時間がかかるので、最初に担当を決めます。

移したあとの試し方

同FAQは、移行したプラグインは元のGPTと違う答え方をする場合があると注意しています。そのため、いつもの質問と、少なくとも1つの難しい例で比べるよう勧めています。

中小企業なら、いつもの質問を5つ用意すれば十分です。移行前に元のGPTで答えを出して保存し、移行後に同じ質問をして並べます。確かめるのは4点です。正しいスキルを使ったか、参照すべき資料を使ったか、決まった形式で答えたか、必要な連携が動いたか。

移行したプラグインは、最初は作った本人しか使えない非公開の状態です。社員に切り替えを頼む前に、使う人が実際に開けるかを1人に試してもらいます。答えの確かめ方はAIの回答を確認する方法も参考になります。

手順の正本は、ツールの外に置く

手順を失わない移行の4歩。1.使っているGPTを洗い出す、作った人と使う人を分ける。2.指示とファイルを保存、社内の共有フォルダへ。3.いつもの質問を5つ残す、移行後の答えと比べる。4.新しい仕組みで試す、難しい1件も必ず試す。
図3|手順を失わない移行の4歩

今回の件で残る教訓は1つです。GPTに書いた指示文は、その会社の仕事の手順書そのものです。見積の出し方、問い合わせへの答え方、言ってはいけないこと。それがAIの画面の中にしか無いと、道具の都合で手順ごと失いかねません。

指示文とナレッジファイルは、社内の共有フォルダに正本として保存しておきます。AIの側はその写しという扱いです。こうしておけば、次に別のサービスへ移るときも貼り直すだけで済みます。手順書の整え方は社内マニュアル・手順書をAIで読みやすく整える方法で紹介しています。

期限の直前に作業しない

移行機能が使えるようになる時期は、アカウントによって違います。終了日の直前に移行ボタンが出ないことも考えられます。10月中に棚卸しを終え、11月中に試すくらいの余裕を持ってください。

よくある質問(Q&A)

うちで作ったGPT、12月11日を過ぎたらどうなるんですか?

OpenAIの公式FAQでは、提供終了日を過ぎるとGPTとそのページは使えなくなるとされています。移行して試したプラグインがあれば、そちらで同じ仕事を続けられます。日程はアカウントに届く通知で確認してください。

GPTで話したこれまでの会話は、プラグインに引き継げますか?

引き継げません。移行しても、GPTでの会話はプラグインへ移りません。後で見返したい回答は、終了前に社内の文書へ控えておいてください。

この機会に、ChatGPT以外のAIに乗り換えてもいいですか?

構いません。指示文とナレッジファイルを社内に保存しておけば、どのサービスでも作り直せます。いつもの質問5つで答えを比べてから決めると、選び直しの失敗を減らせます。

まとめ

  • カスタムGPTは2026年12月11日に提供終了の予定。移り先はプラグインで、全プランが対象。
  • 指示文とナレッジは移るが、カスタムアクション・選んだモデル・会話・共有設定は移らない。
  • 棚卸し、保存、いつもの質問での比較を10〜11月に。手順の正本は社内に置く。

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筆者コメント

カスタムGPTを作った会社の多くは、作った人が一番よく分かっていて、ほかの人は使っているだけ、という状態だと思います。今回の知らせは、その「作った人の頭の中」を社内の文書に移すよい機会です。

AIのサービスは、今後も名前や形を変えていきます。変わらないのは、自社の仕事の進め方です。手順を自社で持ち、AIには写しを渡す。この順番にしておけば、次に何が終わっても慌てずに済みます。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

── AutoAIPlatform編集部

著者情報

AutoAIPlatform編集部 / 中小企業向けAI業務教育メディア

中小企業の経営者、管理職、総務、人事、営業、研修担当者が、AIを安全に仕事へ取り入れるための教育記事を作成しています。AIの操作だけでなく、業務設計・社内ルール・人による確認を重視します。