9月30日に受付が始まった新しい補助金
中小機構が新しく始めたのが「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」です。ものづくり補助金とも新事業進出補助金とも別の、新しい補助金です。当初は8月31日の受付開始予定でした。
中小機構の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業」第1回公募のスケジュール変更のお知らせによると、受付は2026年9月30日から10月30日18時までに変わりました。
枠は3つあります。新製品・新サービスの開発を支える「革新的新製品・サービス枠」は、補助上限が最大2,500万円です。新しい市場へ出る「新事業進出枠」は最大7,000万円です。どちらも賃上げ特例を使うと上限が上がります。
採択されるのは3社に1社ほど
大きな補助金は、申請すれば通るものではありません。中小機構の「中小企業新事業進出補助金」第4回公募の採択発表(2026年9月30日)では、応募1,499者のうち採択は508者でした。計算すると約33.9%です。
同じくものづくり補助金第23次公募の採択結果は、申請1,275件に対して採択448件でした。約35.1%にあたります。第22次は1,552件中582件で約37.5%でした。
つまり3社に2社は採択されていません。AIで計画書を早く作れても、審査に通る中身でなければ意味がありません。
公募要領が求める「申請者自身で作成」
今回の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)」を読むと、生成AIの利用を直接禁じる記載はありません。一方で、作る人については厳しく書かれています。
同要領は、外部の専門家から助言を受けることは差し支えないとしたうえで、「必ず申請者自身で作成してください」と明記しています。作成自体を申請者以外が行った場合は、不採択・採択取消・交付決定取消になります。
AIは人ではありませんが、考え方は同じだと受け止めるのが安全です。AIの答えをほぼそのまま出すのは、自分で作ったとは言いにくいからです。AIは言葉を整える道具として使い、事業の中身は自分で決めます。
似た計画書は、次の申請にも響く
同要領は、他の事業者と同一または類似した内容の事業を補助の対象外としています。故意または重大な過失で酷似した計画を出すと、以降の申請を受け付けない可能性もあります。AIに同じような指示を出すと、似た言い回しや構成の計画書ができやすい点に注意が要ります。
| 公募要領の決まり | 丸投げで起きやすいこと | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 申請者自身で作成 | 中身を社長が説明できない | 骨子は自分で書く |
| 類似した事業は対象外 | 他社と似た文面になる | 自社の数字と事例を入れる |
| 根拠を示して詳細に | 出典のない市場の数字 | 元の資料で確かめる |
| 口頭審査は本人が対応 | 質問に答えられない | 想定問答を声に出す |
従来のものづくり補助金の第23次公募要領にも、似た決まりがありました。類似した事業を故意または重大な過失で申請すると、1回目でも次回と次々回の申請ができなくなるというものです。1枚の計画書が、1年以上先の資金計画にまで響きます。
口頭審査は、社長が1人で答える
同要領では、書面審査のあと、必要に応じてオンラインの口頭審査があります。所要時間は1事業者15分程度で、事業の適格性や実現可能性などを聞かれます。
答えるのは申請事業者自身です。コンサルタントや社外顧問など、事業者以外の同席は一切認められません。審査の間はカメラをオンにし、音声は録音されます。
ここで効いてくるのが、計画書を誰が考えたかです。AIが書いた文を読んだだけでは、「なぜその設備なのか」と聞かれて詰まります。自分で考えた計画なら、言葉が多少つたなくても答えられます。
AIに任せる所、自分で決める所
AIが得意なのは、長い文書の整理と文章の手直しです。今回の公募要領は60ページを超え、読むだけで時間がかかります。要点の抜き出しや、審査項目との照らし合わせは任せてよい仕事です。
自分で決めるのは、何に投資し、誰に何を売り、いくら稼ぐかです。ここをAIに考えさせると、どの会社にも当てはまる一般論になります。審査で評価される自社だけの強みと根拠は、社長の頭と社内の資料の中にしかありません。
そのまま使えるプロンプト例
あなたは中小企業の補助金申請を手伝う編集者です。下に、社長が自分で書いた事業計画の骨子を貼ります。次の3つをしてください。(1)公募要領の審査項目(貼り付けた部分)と照らし、書かれていない項目を一覧にする。(2)骨子の文を読みやすく整える。ただし、数字・固有名詞・事業の内容は変えず、新しい事実を足さない。(3)口頭審査で聞かれそうな質問を10個挙げる。答えは書かない。骨子:[ここに貼る] 審査項目:[ここに貼る]
ポイントは、骨子は人が書き、AIには整えさせる順番です。答えを書かせない質問リストは、口頭審査の練習にそのまま使えます。
数字の目標は、返還義務とつながっている
計画書に書く数字は、飾りではありません。同要領は、補助事業の終了後3〜5年の計画で、付加価値額の年平均成長率を4.0%以上にすることを求めています。
1人あたり給与支給総額は年平均3.5%以上の増加、事業場内の最低賃金は地域別最低賃金より30円以上高くすることも要件です。賃上げの目標が未達だと、補助金の返還を求められる場合があります。
AIは、それらしい売上予測をすぐに作ります。しかし根拠のない数字は、採択後に自社を縛ります。売上の見込みは過去の決算と取引先の話から自分で置き、AIには計算の確認を頼みます。数字の確かめ方はAIの答えを公的統計で裏取りする手順で詳しく解説しています。
AIを使った計画書づくりの4歩
最初の骨子は、箇条書きで十分です。何を買い、何を作り、誰に売り、何年でいくら増やすか。この4行を社長が自分の言葉で書くことが出発点です。
次にAIで審査項目と照らし、抜けを埋めます。文を整えたら、市場の数字や自社の数字を元の資料で確かめます。最後に、AIが挙げた質問に声に出して答えてみます。決められた時間の中で詰まらずに話せれば、計画は自分のものになっています。
「AIで書きます」という申請代行に注意
同要領は、高額な成功報酬を求める、経費の水増しを勧めるといった悪質な業者に注意を促しています。事業計画作成支援者がいる場合は、名前と報酬額の入力も必要です。書く作業を丸ごと外に出す契約は避けてください。
よくある質問(Q&A)
補助金の事業計画書をChatGPTで書いたら、ばれて落とされますか?
公募要領に生成AIの利用を禁じる記載はありません。問題になるのは、中身を自分で考えていないことと、他社と似た内容になることです。骨子を自分で書き、AIには文の手直しを頼む使い方をおすすめします。
口頭審査って何を聞かれるの?コンサルの人に一緒に出てもらえますか?
公募要領では、事業の適格性や実現可能性などを15分程度で聞くとされています。答えるのは社長など申請事業者自身で、コンサルタントの同席は認められません。AIに想定質問を出させて練習しておくと安心です。
AIに補助金の最新情報を聞いても大丈夫ですか?
補助金の名前や日程は、年度の途中でも変わります。今回も受付開始が1か月延びました。AIの答えは手がかりにとどめ、中小機構や事務局の公式ページで確かめてください。
まとめ
- 新しい補助金の受付は2026年9月30日から10月30日18時まで。直近の採択率は3割台。
- 公募要領は計画書を「申請者自身で作成」と求め、似た計画は対象外。口頭審査は社長が答える。
- 骨子と数字は自分で決め、AIには照らし合わせ・手直し・想定問答を任せる。
事業計画書は、補助金のための書類である前に、会社のこれからを言葉にしたものです。AIに書かせると早く終わりますが、社長の考えが入らないまま出来上がってしまいます。
おすすめは、考えるのは社長、整えるのはAIという分担です。補助金に通っても通らなくても、自分で書いた計画は次の一手の土台になります。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
── AutoAIPlatform編集部