男性の育休取得率が初めて5割を超えた

厚生労働省は2026年7月31日、令和7年度雇用均等基本調査の結果を公表しました。男性の育児休業取得率は50.9%で、前回の40.5%から10.4ポイント上がりました。女性は88.3%です。

事業所の調査は、常用労働者5人以上の事業所が対象です。3,291事業所が回答しており、小さな事業所の実態も含まれています。

男性の取得期間は「1か月〜3か月未満」が30.3%で最も多く、「2週間〜1か月未満」が28.0%で続きます。数日だけの取得ではなく、月単位で休む人が増えています。休む本人だけでなく、残る社員への説明も含めた準備が要る時代です。

小さな事業所ほど、制度の規定が追いついていない

同じ調査では、就業規則などに育児休業制度の規定がある事業所は84.0%でした。規模別では、5〜29人の事業所が81.3%で、500人以上の100.0%との差が出ています。

産後パパ育休の規定がある事業所の割合。500人以上99.8%、100〜499人96.5%、30〜99人82.4%、5〜29人66.2%。厚生労働省 令和7年度雇用均等基本調査。
図1|産後パパ育休の規定がある事業所(規模別)

差がもっと大きいのが産後パパ育休です。子の出生後8週間以内に取れる休業で、5〜29人の事業所では規定があるのは66.2%にとどまります。

育休を取りやすくする環境づくりも、「いずれも行っていない」事業所が36.9%ありました。規定や仕組みが無い会社では、報告を受けた人がその場で答えに詰まります。説明の準備が無いことが、取りにくさの原因になりやすいのです。

報告を受けた会社がしなければならないこと

個別の周知・意向確認は、2022年4月1日から全企業の義務です。厚生労働省のリーフレット「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(令和4年4月施行分)が、伝える内容を4つに定めています。

4つとは、育休と産後パパ育休の制度、申出先、育児休業給付、休業中の社会保険料の扱いです。伝え方は面談、書面、FAX、電子メールのいずれかで、FAXとメールは本人が希望した場合に限られます。

同じリーフレットは、伝え方の中身にも条件を付けています。「取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません」と明記しています。「うちは人が少ないから」と添えるだけで、義務を果たしたことにならないおそれがあります。

さらに2025年10月1日からは、本人の働き方の希望を個別に聞いて配慮することも義務になりました。伝えるだけでなく、聞くことまでが会社の仕事です。

いつ・何を・個別に伝えるか

個別に伝える場面は、妊娠・出産の報告だけではありません。2024年の法改正で増えた分は、厚生労働省の「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(令和7年4月から段階的に施行)にまとまっています。

表1|会社が個別に伝える・聞く場面
いつ何をするか義務になった時期
妊娠・出産の報告を受けたとき育休制度の周知と取得の意向確認2022年4月
同上勤務時間帯・勤務地などの希望を聞いて配慮2025年10月
子が1歳11か月〜2歳11か月の間柔軟な働き方の制度の周知と意向確認、希望の聴取2025年10月
介護に直面したと申し出たとき介護休業制度の周知と意向確認2025年4月
40歳になる年介護の制度の情報提供2025年4月

表のとおり、説明の場面は社員の人生の節目ごとにやってきます。どれも年に何度もない仕事なので、担当者の記憶には残りません。文面の型を社内に残しておくことが、そのまま備えになります。

会社が伝える4つ、本人に聞く4つ

妊娠・出産の報告を受けたときにすることは、「伝える」と「聞く」の2つに分かれます。伝えるのは制度のこと、聞くのは働き方のことです。

会社が伝えることと本人に聞くこと。伝える:育休と産後パパ育休の制度、申出先、育児休業給付、社会保険料の扱い。聞く:休業を取るつもりか、勤務の時間帯、勤務する場所、業務量などの条件。
図2|会社が伝える4つ、本人に聞く4つ

聞く項目は、リーフレットでは勤務時間帯、勤務地、両立支援制度の利用期間、業務量や労働条件とされています。聞いた希望には、自社の状況に応じて配慮する義務があります。

配慮は、希望をすべてかなえることではありません。できること・できないことを理由とともに返すことが大切です。その返答の下書きにも、AIは役立ちます。

AIに任せる部分と、人がする部分

AIが得意なのは、制度の説明を読みやすい文章に整えることです。就業規則の育休の条文を貼り、「本人向けの案内文にして」と頼めば、硬い条文がやわらかい説明に変わります。

一方、給付の金額や保険料の計算は、AIに任せてはいけません。数字と条件は、厚生労働省やハローワークの資料で人が確かめます。AIは古い制度のまま答えることがあるためです。

入力する情報にも注意が要ります。妊娠や出産は、本人がまだ周囲に伝えていない場合が多い情報です。AIには名前や出産予定日を入れず、「社員A」として頼みます。入れてはいけない情報はAIに入力してはいけない情報一覧にまとめています。

面談で話すのは人です。AIの下書きは、話す順番を決めるための台本として使います。最初の一言だけは、AIの文章を読まずに自分の言葉で伝えます。

報告を受けてから面談までの4歩

報告を受けてから面談までの4歩。1.まずお祝いを伝える(取得の話は日を改めて面談で)。2.AIで説明文を下書き(4つの周知事項を入れる)。3.人が制度と数字を確認(給付と保険料は公式資料で)。4.面談で聞いて記録する(希望と会社の返答を残す)。
図3|報告を受けてから面談までの4歩

手順1では、報告を受けたその場でお祝いを伝えます。休業の話は、日を改めた面談で落ち着いてすると伝えれば十分です。

手順2で、4つの周知事項を入れた説明文をAIに下書きさせます。手順3では、給付と保険料の扱いを公式の資料で確かめます。厚生労働省は個別周知・意向確認の様式例も公開しており、AIの下書きと見比べると抜けに気づけます。

手順4の面談では、聞いた希望と会社の返答を記録に残します。記録は、休業前の引き継ぎや復帰後の面談でも使えます。引き継ぎの準備は休む前の引き継ぎメモをAIで作るも参考になります。

そのまま使える説明文のプロンプト

就業規則の育児休業の部分と一緒に、次の文を貼り付けてください。角かっこの中は自社に合わせて書き換えます。

あなたは、中小企業の人事担当者を手伝う文章の専門家です。社員Aから[本人・配偶者]の妊娠の報告を受けました。面談の前に渡す説明文を作ります。 1. 次の4点を、やさしい言葉で順に説明してください:育児休業と産後パパ育休の制度/申出先([担当者名])/育児休業給付/休業中の社会保険料の扱い。 2. 最後に、取得の意向と、勤務時間帯・勤務地・業務量の希望を面談で聞くことを書いてください。 3. 金額・日数・条件は書かず「[要確認]」と印を付けてください。 条件:取得を控えさせる言い方、職場の人手不足に触れる言い方は使わない。A4用紙1枚に収める。 就業規則:[ここに貼る]

金額に印を付けさせるのが要点です。AIが書いた数字をそのまま渡す事故を防げます。AIの文章の確かめ方はAIで作った文章を人間が直すべき3つのポイントにまとめています。

説明で失敗しないための3つの注意

1つ目は、引き止めに聞こえる言葉を消すことです。「繁忙期だけど」「前例がないけど」は、善意でも取得を控えさせる言葉に聞こえます。AIの下書きにも、こうした言葉が混ざっていないか確かめます。

2つ目は、男性社員にも同じ説明をすることです。配偶者の出産を申し出た男性も、個別周知の対象です。男性だから説明を省く、は義務違反になります。

3つ目は、一度で終わりにしないことです。子が3歳になる前にも、柔軟な働き方の周知と意向の聴取があります。面談の記録に「次に話す時期」を書いておくと、担当が替わっても抜けません。

よくある質問(Q&A)

社員が5人しかいない会社でも、育休の個別周知はしないといけませんか?

はい。会社の規模にかかわらず、妊娠・出産を申し出た社員への個別の周知と意向確認は全企業の義務です。面談のほか、書面を渡す方法でもかまいません。

育休の説明文をChatGPTで作っても問題ありませんか?

下書きに使うのは問題ありません。ただし名前や出産予定日は入れず、給付や保険料の数字は公式の資料で人が確かめます。厚生労働省の様式例と見比べると抜けに気づけます。

男性社員から「妻が妊娠した」と聞いたら、何を話せばいいですか?

まずお祝いを伝え、日を改めて面談します。制度・申出先・給付・社会保険料を伝え、取るつもりかと働き方の希望を聞きます。女性社員のときと同じ内容です。

まとめ

  • 男性の育休取得率は50.9%に上がった一方、個別の周知・意向確認をしていない事業所が23.0%ある(厚生労働省 令和7年度雇用均等基本調査)。
  • 妊娠・出産の報告を受けたら、制度・申出先・給付・社会保険料の4点を伝え、意向と働き方の希望を聞く。
  • 説明文はAIで下書きし、数字は公式資料で人が確かめ、面談は人が自分の言葉で行う。

報告を受けてから慌てる前に、今日、自社の就業規則をAIに読ませて説明文の型を1枚作ってみてください。その1枚が、社員が安心して報告できる職場の土台になります。

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著者情報

AutoAIPlatform編集部 / 中小企業向けAI業務教育メディア

中小企業の経営者、管理職、総務、人事、営業、研修担当者が、AIを安全に仕事へ取り入れるための教育記事を作成しています。AIの操作だけでなく、業務設計・社内ルール・人による確認を重視します。